1. 需要に応える中国での臓器移植産業

地上最大の人口を抱える中国は、移植産業ブームの本拠地となりました。中国国内外の専門家による控えめな推計によると、肝移植を待つ患者は少なくとも100万人¹、腎移植を待つ患者も少なくとも100万人²、骨髄移植を待っている白血病患者は400万人以上、角膜移植が必要な患者は400万人以上います³。

中国では1960年代に人の臓器移植の研究と臨床試験を開始しました。しかし、2000年以降、中国の移植産業は急成長を見せます。中国政府は臓器移植を国家戦略に組み込み、移植技術の研究開発、人材養成に多額の投資をしてきました。移植手術と術後ケアの技術も現れ、手術件数は激増し、肝移植・腎移植は臨床における日常的な手術となりました。

1999年以前は、中国本土には150軒の移植病院がありました⁴。2007年には1000軒以上の病院が移植病院としての認定を中国衛生部に申請しています^{5 6}。移植のほとんどは国内需要に応えるものでしたが、国外からの移植ツーリズムもブームとなり、中国は、生存に関わる臓器を必要とする者のためのグローバル・センターと化しました。

このセクション内の項目

1. 2000年より急成長を遂げる中国の移植産業
2. オンデマンドの移植手術
3. 移植件数を示す情報

脚注