移植件数を示す情報

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拡張する収容能力

移植臓器の尽きない需要に応えるため、ほとんどの病院は移植病棟を増築・新築してきました。国外からのレシピエントのためにVIP用の施設を備えるものもあります。

事例研究：武漢協和医院のアジア最大の外科病棟

武漢協和医院の外科専門の新築建築は2006年9月に開設しました。地上32階、地下2階あり、統合的な手術病棟は1050病床と42の手術室を備えます⁴。1日200件の手術が可能です。中規模・大規模の病院5つを合わせた手術件数に相当します⁵。

同病院の泌尿外科は中国で学術的に高い地位にあり、同地域内で規模にして最大級の腎臓移植センターとなりました⁶。肝移植センターは総合外科の中核です。心臓移植、心肺同時移植では「先端技術」を誇ります。心臓血管外科では同日に4件の心臓移植を同時にこなしたことがあり、2014年は中国でのほとんどの心臓移植を手がけたとしています⁷。

事例研究：24時間体制の外科病棟

上海仁済医院泌尿外科では、1999年11月に浦東地区に新病棟と腎移植病棟を設置しました。29病床から70病床に拡張。新しい医療チームと配給システムを以って移植件数は3倍増⁸の年間5000件以上となりました。そのうち60％は中規模・大規模の手術です。入院日数は平均5日です⁹。

2016年3月、上海文匯報（ぶんわいほう）の記者に陳哲穎医師は次のように語っています¹⁰。「患者の数が多過ぎます！ 夜通し手術を行なっています。一日24時間、止まることがありません」。一日に120件の手術が行われます。もっとも難しく、ロボットによる手術を含む最先端手術は全てここで行われます。肝移植の件数は含まれていません。肝臓は別の地域からこの病院に夜遅く持ち込まれるので、早朝まで手術をすることは普通です。

「手術室は病院内の秘密の園のようです。外界と接触する暇はありません。24時間、照明がついています。夜の7時、8時も朝も変わりません。昼と夜の違いが分からなくなっています」

2005年、仁済病院の東手術棟が利用されるようになりました。現在は1000病床を備えます¹¹。手術室は24室から38室に増やされました¹²。新しい建物の14階と15階に肝移植センターはあります¹³。2004年9月末に13病床でしたが、10日しないうちに23病床に増やされ、2007年6月には90病床¹⁴、2014年には110病床へと増加しました¹⁵。利用率と移植件数は、最新記録を更新し続けています。

事実の露呈後も続く成長

2006年、国際社会で中国での臓器収奪疑惑が注目された後、中国の病院は控えめの移植件数に置き換え、公表も取り下げました。中国共産党/中国政府は、スポークスマン、メディア、代理人を通して、中国での移植件数は徐々に減少しているという誤った認識を国際社会に与えてきました。

実際は、公表を抑えるように戦略を調整したに過ぎません。さらに衛生部（省）が2007年に移植認定制度を導入したことで、ほとんどの病院は移植手術をやめたという幻像が生まれました。

全く逆に、2006年3月から2007年5月の期間、ドナーバンクの「在庫処分」が行われ、移植件数は急増しました。その後移植産業は着実に成長を続けています。移植認定を受けなかった施設の中には、移植を停止したか件数を減らしたものもありますが、臓器を入手し続けて継続したものもあります。そして規模の大きい移植の認定を受けた病院は、競合性の減少した環境、政府の完全な支援のもとで、大きく成長していきます。

2000年以来、臓器移植は政府の国家戦略で、中国のグローバルな発展の原動力となる戦略的新興産業として特に優先付けられました。複数の業界のための五カ年計画に継続して組み込まれています^{16 17 18 19 20}。研究・開発・臓器移植の促進のために、国家、軍、民間の機関が多額の投資をしてきました。

安定成長をもたらした新たな認定制度

2006年3月、法輪功学習者が蘇家屯の収容所で臓器のために殺害されている疑惑が明るみに出た後、中国政権は3週間の沈黙を破り、外務省のスポークスマンが蘇家屯の収容キャンプの存在を否定しました²¹。その後、衛生部（省）は混沌とした市場での違法移植を指摘し、2007年7月に認定制度を導入することを発表しました。これにより最大級の病院のみが移植を行うように限定されるというものでした²²。

この転換期間、病院はドナーバンクの「在庫処理」を急ぎ、移植件数が激増しました²³。例えば、湖南省人民病院では、2006年4月28日、肝臓10個と腎臓10個を無料で移植すると宣伝しています²⁴。吉林省心臓病医院では、最初のレシピエント5名にはわずか5万元（約84万円@¥16.7）で心臓移植をするという「セール」を提供していました²⁵。

この年、中国の病院1000件以上が、新制度の下での移植手術認定に申請しました.^{26 27}。そのうち164軒が認定されました²⁸。この制度の下で競合性が弱まり、大規模の移植センターは以前よりはるかに高度に発展するようになります。

例えば、2011年2月28日、浙江大学附属第一医院肝移植センターは次のように述べています。「中国の肝移植ビジネスは安定期を迎えました。鄭樹森・医師の指導のもとで浙江大学附属第一医院肝移植センターの肝移植ビジネスは発展し、2007年には新しい建物に移動しました。肝移植はこれまで以上に系統的・プロフェッショナルに行われ、規模も大きくなりました²⁹」

病床利用率100～200％で稼働する移植センターもあり、衛生部（省）の認定を受けなかった比較的小さな病院でも成長は見られます。下記に例を挙げます。

鄭州市第七人民医院は心臓と腎臓の移植を専門とし、設立以来、200病床を備えます³¹。湖南省で同種異系の腎移植を最初に行なった病院です³²。泌尿器科は、鄭州市肝移植及び血液浄化センターに指定されています^{33 34}。

鄭州市第七人民医院は「２Ａ」格（３Ａが最高クラス）の病院であるにもかかわらず、省内の腎臓移植では「大手」でした。「３Ａ」格の病院だけが移植病院として認定されると聞いた時、魏燕（ウェイ・ヤン）副院長は、腎移植が同医院のほとんどの業務なので、「これらの移植手術を認められなくなったら、院内の業務を半減することを意味し、病院の発展に多大な影響が出る」と語りました³⁵。

2016年8月の報告書によると、同医院の腎移植腎内科は、過去20年以上にわたり国際水準の複数の技術を備えるようになり、腎移植の質と量において、常に省をリードしています。最初の肺腎同時移植、最初の膵腎同時移植は鄭州市で行われました。60人以上の医療スタッフは「24時間体制で呼び出されることに慣れており、王長安主任は30年間の勤務期間に、国民の祝日に休んだこともなく、旅行も行かず、映画館にも足を運んだことはありません³⁶」

同医院は二つの病棟を建築しました。一つは2006年着工した時は、600病床を備えました³⁷。2010年12月29日に800病床を備える新築病棟に移転しました。 2014年に３Ａ級の病院に格上げされてから、リバーサイドの病棟の新築に着工し、1000病床が加えられ³⁸、合計1800病床となりました。

2015年3月、内部通信によると腎移植腎内科の病床利用率は130％と示されています⁴⁰。しかし、46病床、腎移植数50件と報告されています。上記に挙げた成長傾向を鑑みると、実際の数値の10倍以下に抑えられていると思われます。

遵義医学院付属医院では、腎移植のみの認定を受けているにもかかわらず、骨髄、角膜、幹細胞、その他の種類の移植を行っています。2012年、泌尿外科は病床数51、患者100人の水準を維持し、病床利用率はおよそ200%と報告されています⁴¹。その後、泌尿外科の病床数は100に増加しました⁴²。

2016年の天津医科大学総合医院のウェブサイトには、その普通外科には分会としての移植外科があり、肝臓、小腸その他の腹部臓器の移植を行っていることが示されています。208病床を備え、平均の利用率は115%に上ります⁴³。同院の肺腫瘍外科内に天津肺移植センターがあり、臨床に当たる専門チーム、110病床を備え、月平均160人以上が入院しています⁴⁴。同院の泌尿外科では腎臓移植が行われており、96病床に対して毎月の入院患者数は最高150人です⁴⁵。眼科センターでは角膜移植が行われ、42病床を備え、入院患者数は月平均100名以上です⁴⁶。

さらに、移植認定を受けなかった病院が、臓器移植を停止することはありませんでした。2007年に認定されなかったけれども移植を続け、その後、2012年に開始した心停止後臓器提供（donation after cardiac death:DCD）の試験プログラムで移植することが認められた病院が75軒あります。2014年1月までに、認定病院は169軒へと拡張されました^{47 48}。

多くの病院は、2006年以降、移植用の病床を増やし、病棟や建物を新設しました。中国の移植ビジネスは、2000年頃から臓器が豊富に入手できるようになったことだけではなく、これからも豊富に入手できることを確信した上で成長を続けているのです。

収容能力を超える需要

移植手術の収容能力が増加しましたが、需要には追いつかず、高い病床利用率と臓器件数を記録しています。例えば、中南大学湘雅第三医院では臓器を待っている患者が1000人を越します⁴⁹。西安交大第一附属医院でも1000人以上が移植手術を待っています⁵⁰。2013年、解放軍第309医院の臓器移植研究所では毎年5000～6000人の患者が移植手術を待っていると報告されています⁵¹。

人民日報は2011年1月20日に下記のように報道しています。「鄭樹森（ヂェン・シュセン）医師の働く浙江大学附属第一医院では、現在50名以上の患者が緊急に肝移植が必要な状態にある…天津第一中心医院の東方臓器移植センターでは肝移植待ちの肝臓病の末期患者が1000人以上登録されている⁵²」

移植件数を制約する要因

上記に見られるように、病床とスタッフの利用率の高さ、移植センターのたゆまない拡張、新たに病院を認定する計画などから、移植手術の件数を制約するものは医療機関や職員であって、臓器源ではないことが示唆されます。

中国政権が臓器の輸出を推進し、中国の移植を中国外の市場でも促進しようとしている下記の例からも、このことは窺えます。

2014年12月、黄潔夫は台湾で「海峡を超えた臓器交流プラットホーム」を提案しました。臓器を中国本土から台湾に輸出することで「患者が移植手術のために台湾から中国本土にいく必要がなくなる」というものです⁵³。

2015年8月22～23日、中国臓器調達機構連盟が広州で主催した会議の期間、黄潔夫は、澎湃（ペンパイ）新聞のインタビューに応え、中国の臓器移植を世界に促進しました。「中国での移植費用は今後も最も安価でアクセスしやすいものとなるでしょう。そして（移植は）高度な技術で行われます⁵⁴」

黄潔夫は2015年1月12日のテレビのインタビューでは、臓器移植の件数を制限する要因について下記のように語っています⁵⁵。

「第一は、経済的な理由です。移植手術はとてもお金がかかります。多くの市民は移植にかかる医療費が支払えません。第二は、十分な設備を整えた認定病院があっても、経験豊富で腕のある医師がそれほどいないということです。献体がそれほど多くないことは、第三の要因です。現在は豊富に献体があっても、（移植を行える）病院や医師が多く存在しないのです」

黄潔夫は上記から、臓器の入手状況は移植件数を制約する主な要素ではないことを示しています。

野心的な発展計画

2015年10月、黄潔夫は『北京青年報』に、現在一種以上の移植手術の認定病院は169軒のみだが、300軒に増やし、400～500人の若手の医師を要請したいと語っています⁵⁶。

その後、2016年5月15日、『中国日報』は「中国は今後5年のうちに臓器移植を行う病院数を300軒に増やす」という黄潔夫の言葉を報道しています⁵⁷。

2017年1月2日、黄潔夫は『北京青年報』に、「現在、医師、病院、コーディネーターが不足している…［169軒から］300～500軒に増やすよう呼びかけている」と語りました⁵⁸。

過労の医師・看護師

最近でも、多くの医療チームや個々の医師が、大量の移植手術をこなすために苦しんでいる様子を把握しています。外科医は臓器調達、移植手術に長時間を費やしており、しばしば、複数の移植を同時に行います。一般の外科医のほとんど全てを移植外科医に養成することで難を乗り越えようする病院もありました。

1日20時間、休みなく、ほとんど睡眠も取らずに移植手術をしている外科医の様子はよく目にします⁵⁹。医師は腎臓の調達に忙しく「1～2週間、家に帰れないことはしばしばあります⁶⁰」

事例研究：日夜を通しての勤務

中南大学湘雅附属第二医院の泌尿外科臓器移植科、彭龙开（ペン・ロンカイ）主任は、2000件以上の腎移植を行っています⁶¹。

この病院での移植件数は忙殺されている医師の様子からうかがい知ることができます。

「移植外科医が20時間以上、移植手術をすることはよくあります。3～4時間休んでから、次の複数の移植手術のセッションに入ります。手洗い消毒する看護師のシフトが数回、替わっても、移植医はまだ手術台に向かっています。2～3日の期間に12件の手術を行うことはよくあります。一日に9件の腎移植を行ったこともあります⁶²」

事例研究：忙殺される腎臓供給チェーン

「病院にいなければ、腎臓を取得する場所にいます。腎臓を取得する場所にいなければ、病院と腎臓を取得する場所の間を移動しています」。山東大学斉魯医院の移植チームの多忙な生活を示す言葉です。移植チームメンバーは1～2週間、家に帰れないことはしばしばあります。2010年12月26日、同病院の公式ウェブサイトに下記の報告が掲載されました⁶³。

「現在、中国での臓器源に対する国際的な批判のため、利用できる死体腎臓のドナー数が大幅に減少し、不安定要素が増え、競争が激化しました。しかし、臓器移植供給科の董来東主任と血液浄化科の田军主任のたゆまぬ努力のおかげで、死体ドナーによる腎移植件数は昨年を大幅に上回り、腎移植の待機時間も、特に目立つほど長くなることはありませんでした」

事例研究：ほぼ全員が移植医

移植件数を増やすための熱意は、全国水準の病院にとどまらず、市立病院は国営企業の附属病院で、主要な事業となってきていることが判明しました。下記にその典型的な例を挙げます。

東風総合医院は、中国大陸の中央部に位置する小さな産業都市、十堰（シーヤン）市の自動車メーカーが操業しています。10年も経たないうちに、同病院の移植業務が急激に成長したおかげで、「地元経済の発展を助け」「市の評価を高め」自動車の東風から移植の東風へと徐々に新たな「十堰での名刺」に替わりつつあります⁶⁴。

2000年8月という早時期に、腎移植10件、甲状腺移植1件、角膜移植3件を同日に行っています。また同病院では、肝移植、角膜移植、原位保留甲状腺移植、骨髄移植、その他の種類の臓器および組織の移植も行っています⁶⁵。

2009年、同病院の袁方均副院長は「腎移植は普通の手術となりました。同病院のほとんどすべての外科医は、腎移植を完全に独立して行うことができます」と語っています⁶⁶。

同病院のウェブサイトによると、10の外科部門があり、100名以上の外科医が勤務しています。これだけの外科医のほとんどが移植手術をできるように養成されるために、何件の移植手術が行われたのでしょうか？

さらに、同病院には胸部の移植部門もあり、40以上の病床、3名の主任医師、2名の准主任医師、医師4名、研修医3名を備えます⁶⁷。これらの医師に関するウェブページへのアクセスは、現在できなくなりました。

事例研究：「10年間の思い出」

西安高新医院は、英国の病院管理企業とのジョイント・ベンチャーです。臓器移植センターは2003年に設立されました。衛生部（省）では、この３Ｂ級に格付けされた同病院を移植病院としては認めていません。

2012年9月、泌尿外科の設置10年を追想する記事で、同外科の努力のおかげで、設立5年目にして年間収益が1000万元に達成したことを発表しています⁶⁹。

「振り返ると、この時期は、夜明け前に駅、空港、他の病院へと患者を迎えに出ていました。酷暑でも極寒でも、4～5人が古びたワゴン車に詰め込まれ、臓器を摘出しました。日中と夜にかけて7～8権の移植手術が行われ、術後の重病患者が1～2週間入院するのを診たものでした…」

事例研究：病みつきになる移植外科医

オンライン投稿からの引用です。「仁済医院組建肝移植センターは、2004年9月20日に公式に設立しました。主任外科医として夏強（シア・チャン）医師が赴任しました。当時、すでに数百件の腎臓移植を成功させていましたが、中国の移植界ではまだ比較的経験が浅いとされていました⁷⁰」

2005年1月26日付けの『解放日報』では下記のように語っています。「肝移植に病みつきになっています。病棟で患者を診ない日があると不快になります。一週間に少なくとも2～5件の肝移植を行います。失敗も恐れません。十分に分析・要約し、翌日また続けます」。いくつの肝移植をおこなったのでしょうか？ 覚えていないということです。一日6件の肝移植を行ったという記録だけを覚えています⁷¹。現在でも従来の肝移植は4～6時間かかります。2005年の手術時間はもっと長かったことでしょう。

「私のチームの管理は軍事的です。医療スタッフは24時間、携帯電話のスイッチを入れている義務があります。移植片の入手のために出向いたり、手術の準備をしたりする必要が常にあるからです。医師はすべて常時待機しています⁷²」。2013年、『文匯報』（ぶんわいほう）は、「仁済医院は休みなく肝移植手術を行っており、医師は夜通し外に出ることもできない」と報道しています⁷³。

同時に複数移植を行う病院

一日に複数の移植を行うことを日常としている病院をよく見受けます。24時間に10～20件以上の腎移植を行った部門もありますが、特に何かに達成したということではありません。

事例研究：一日（いちじつ）の午後、心臓移植4件をこなす武漢協和医院

『武漢晩報』の2013年の記事によると⁷⁴、6月20日午前、協和医院の心臓外科に、移植用の心臓4個が入手できたという通知が入りました。

同日の午後、胡豫副院長は、心臓移植4件を同時に行うことを命じました。13名の教授、17名の准教授を含む200名以上の心臓外科の医療スタッフが、4つのチームに分けられ、それぞれが個別に、ドナーの選択、調達、適合、移植を完了させました。

6月21日10:43に、4つの心臓が同時に協和医院の手術室に運び込まれました。11:50、心臓外科主任の董 念国 医師に率いられ、4つの専門家チームが同時に心臓移植を開始しました。13:47から14:09の間の22分間で、心臓の末期症状の4人の患者の体内で4つの心臓が鼓動をし、手術は成功しました。

2006年3月、中山大学附属第一医院では、肝移植5件と腎移植6件が同時に行われたことを『広州日報』の記者が目撃したと報道しています。同病院の移植センターでの腎移植の最高記録は一日19件です。また、肝移植6件、複数臓器移植1件を一日で行っています⁷⁵。

同病院のニュースを伝えるウェブサイトでは、これまで数万人の肝移植と腎移植のレシピエントが手術を受けてきたとあります⁷⁶。鄭克力（ジェン・ケリ）教授は3000件以上の腎移植を指揮してきました⁷⁷。同センターの主任である何暁順（へ・シャオシュン）医師は1300件の肝移植を行ったと報告されています⁷⁸。

重慶の第三軍医大学附属の新橋医院は、一日に24件の腎移植を行い、2002年までには2590件の腎移植を行ったと記録されています⁷⁹。

2008年12月1日、『斉魯晩報』は、済南軍区総合医院では腎臓移植を同時に6件こなすことができると報道しています。24時間以内に16の腎移植を行ったという記録もあります。年間移植件数では、10年間継続して、中国全土のトップ10に入っています⁸⁰。

四川大学華西医院肝移植センターでは、肝移植設備を5台輸入しており、5件の肝移植を同時に行うことができます⁸¹。7件の肝移植を一日で行ったこともあり、国家的な記録を残しています⁸²。

2014年2月18日、南京軍区福州総合医院の肝胆外科肝移植センターでは、16名の医師が17時間内に5つの肝移植を行いました⁸³。

無錫市第五人民医院の「中国一の肺移植医」とされる陳 静瑜 医師は、1日に4～5件の肺移植を行うことがよくありました⁸⁴。中南大学湘雅医院は、2005年5月26日に、肝移植1件、腎移植6件、角膜移植8件を行いました⁸⁵。2005年9月3日には心臓移植、肝移植、腎移植を合計7件行っています⁸⁶。また、2006年4月28日には、末期の尿毒症患者7名の同時移植、肝移植2件、角膜移植8件の17件の移植を1日に行ったと記録されています⁸⁷。

北京朝陽医院は、2000年頃、一日21件の移植を行っていたと報告されています⁸⁸ 。山西省第二人民医院の移植センターを設立した呉 暁桐 医師は、12時間休みなく移植手術を行うことがよくありました。2006年8月、移植待機患者は100名以上と記録されていました。8月15日だけで、11件の腎移植を行っています⁸⁹。

最も移植件数の多い病院と外科医

過去10年間、中国当局は個々の病院の年間移植件数を発表せずに、毎年の臓器移植件数の総計はおよそ1万件であるとしてきました⁹⁰。しかし、様々な病院のウェブサイトに見受けられるデータからでも、数軒の病院と個々の外科医の行った移植件数を合わせるだけで、1万件は優に超えることが明らかです。

中国で以前公表されていた移植データの多くは、特に2006年に違法臓器収奪が最初に国際的な注目を浴びるようになって以来、取り下げられ数値は抑えられました。例えば、移植部門の公式移植件数は、病床数やスタッフの数の10%に満たない利用率にまで引き下げられました。しかし、一つの病院での外科医による移植業務は、様々なデータ源の数値を比較することで、把握することが可能でした。外科医の中には、数千件の移植手術を担当した者もいます。

最も移植件数の多い病院として天津第一中心医院の東方臓器移植センターが挙げられます。2006年に500病床まで拡張し、利用率は2009年には90％⁹¹、2013年には131％に達しています⁹²。同センターは同時に9件の肝移植、8件の腎移植が行えます。500病床数、利用率100％、肝移植での入院期間の平均は3～4週間として、年間6000～8000件の移植を行うことが可能です。総計10,000の移植手術を行ったとしていますが⁹³、沈 中陽（シェン・ジョンヤン）のような外科医の移植件数を数名合わせるだけで、簡単に年間1万件の数値は越えてしまします。沈 中陽は、2014年までの期間にほぼ1万件の肝移植をおこなったとプロフィールに書かれています⁹⁴。彼の指導のもとで、研修医らはほぼ1000件の肝移植を行いました⁹⁵。

「リーダーとして、沈 中陽は、自分の時間は全くない。過去10年以上におよび、基本的に一つの移植から次の移植へ、日夜仕事を続け、定期的な時間に食事をとる暇もない。深夜まで、または朝まで手術台にいることはよくある」というメディアの報道があります⁹⁶。

他の移植医も休んでいません。「病院の移植科の医師は病棟から手術室を常に急ぎ足で移動しており、互いの時間もありません。『一日十数件の手術があり、ここ数日は忙殺されている』と言い続けています。『徹夜で手術をし、睡眠の時間はまったくない』という医師もいます。正月のあとの1ヶ月のみが休みの時期で、年末までは忙しく、普通は家には帰らないと医師は苦情を語っています⁹⁷」

人民解放軍309医院の臓器移植センターには、231の医療・研究スタッフを抱えます。病床数は、316（2010年）から393（2012年）に増えていますが⁹⁸、現在のウェブサイトでは330病床と掲載されています。利用率は同格の軍施設の中で抜きん出ていると報告されています。一夜にして12の腎移植を完了させました⁹⁹。

2014年現在で、南京軍区福州総合医院の譚建明（タン・ジャンミン）副院長は、4200件以上の腎移植を行いました。以前は上海交通大学附属第一人民医院の移植泌尿科主任も兼任していました¹⁰⁰。

上海の第二軍医大学附属長征医院は、移植を数多くこなす医師を二人抱えています。人民解放軍の腎移植をリードするとされる朱有華（ジュ・ヨウフア）医師は、2010年までに3680件の腎移植を行っています¹⁰¹。

吉林大学第一医院を設立した傅耀文（フ・ヤオウェン）医師は、腎移植プログラムと血液浄化センターを設立し、2009年4月現在で3000件の腎移植をこなしています¹⁰²。

第一軍医大南方医院器官移植センターの于立新（ユ・リシン）が2004年に発表した論文には、2001年11月現在で2123件の腎移植が行われたと記述されています¹⁰³。

第三軍医大学新橋医院の泌尿外科は特に移植件数の多い機関として挙げられます。「2002年までには2590件の腎移植を行いました…一日に24件の腎移植を行ったこともあります¹⁰⁴」

2005年のsohu.comに掲載された北京華信医院（清華大学第一附属医院）管徳林（グアン・デリン）医師が「腎移植2700件以上、親族間の腎移植40件以上、腎膵同時移植を20件近く行った」経験があると紹介されています¹⁰⁵。

広東省第二人民医院臓器移植科は1999年に設立されました。劉東（リウ・ドン）主任は2015年までに2000件以上の腎移植と肝移植に立ち会っています¹⁰⁶。呉家清（ウ・ジャチン）副主任は、2006年8月3日以前、「毎日、10件以上の移植手術を行っていた」「2006年8月から、臓器移植のためにシンガポール、カンボジア、フランスの8～9カ国から患者が来るようになった」と明かしています¹⁰⁷。

北京の海軍総合医院は「数千人の肝臓癌の末期患者が肝移植を通して第二の人生が送れるように助けました¹⁰⁸」

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脚注